窓論です。
一般的には窓について日常生活で意識して考えることってあまりないと思いますが、私は空間プロデュースの仕事上、割と多い方だと思います。
そもそも家とか建物の目的は、屋外環境を(良くも悪くも)遮断するためです。
でも、壁と屋根で全てを遮って仕舞えば、真っ暗な、味気のない、なんとも以後ごちの悪い空間でしかありません(尤も、あえてそんな空間が必要な場合もあるわけですが)。
つまり窓は、言って見れば屋外環境の良さを屋内空間に取り込むための、文字通り窓口なんですよね。
屋外の良さは、なんといっても気持ちの良い陽の光とそよぐ風。そして景観。
加えて日本には四季の移ろいというものがあるから、そのシーズンごとの季節の良さや風向き、天候、景色の変化、太陽の高度の変化など、様々な変化要素があります。
窓を設置するには、当然、これらの諸条件を含めて検討する必要があるわけです。
ある小学校の建物で、それを実感したことがあります。
その小学校、旧校舎の建て替えで木材をふんだんに使って、デザインもなかなか素敵なんですが、先生曰く、風の通りが全くなく、ために夏は極めて不快な校舎内になってしまうそうです。
おそらくそれなりの設計士さんが関わったはずですが、実際の現地調査で、そのあたりの掘り下げが不十分だったのかもしれません。
因みに自宅をカフェにした際に、都合上真っ暗になってしまう部屋の屋根に天窓をつけて、採光と通風を解消できたことがあります。
夏場の太陽の直射については布で防ぐことで解消しました。
窓を付ける際に考えることとして、以下列挙してみましたので、今後の何かのご参考にしてください。
窓を設置する時の要素。
窓の位置、サイズ、機能を決める。
1年を通して太陽や月の高さや軌跡を考慮しての光の入り方、季節毎の風の通り方、部屋内から見える景色とその移ろい、外側から見える部屋内の状態や外観のイメージ。
窓は透明なのか、すりガラスなのか、あるいはどの程度のすりガラスなのか。
窓枠の素材は何か。樹脂製?木製?鉄?あるいはその組み合わせ?色は?
以上を考慮して決めれば、まず後悔は無いと思います。