亜熱帯化する日本。今年の夏はまさにそれを実感した方が多いでしょう。日射、熱射に対する危険度が深刻なレベルまで高まったということを考えるべき事態になっていると思います。
40度近くまで上昇する環境はハンパありません。
因みに、住環境においてどれくらい不快かを調べる上で「暑さ指数」という指標があります。
これは「気温、湿度、輻射熱」の3つの要素を取り入れて数字として表します。
気温だけでは暑い寒いというものを客観的に捉え切ることができないわけです。
同じ気温でも木陰と日向あるいは日本とヨーロッパでは暑さを感じるレベルはまったく違いますから。
一般的に暑さ指数28度を超えると、熱中症にかかる率が急上昇する、と言われています。
ここで注目したいのは、暑さ指数の3つの要素の比重です。
実は気温1: 湿度7: 輻射熱2という内訳なんですね。
気温よりも湿度と輻射熱が多いわけです。
熱帯雨林気候の国に滞在すればいかに高湿度が「蒸し暑くて不快」に感じるか、おわかりでしょう。
つまり亜熱帯化する日本では、この湿度と輻射熱対策が畢竟急務になってきたわけです。
元々日本は多湿なので、それに適応する能力は高く、そもそも住環境でも木造や調湿機能のある砂壁といった素材そのものが高湿度対策になっています。
では輻射熱対策はどうかというと、実に手薄い感が否めません。
ところでそもそも、輻射熱とは何か、ということですが、
熱移動には「対流、伝導、輻射」の3種類があります。(ここで理科の授業のようになってきましたが、超基本レベルですからご安心を!笑)
一言で言うと、対流熱は空気の流れ、つまりエアコンの風。伝導熱は、物を通して直接的に伝わる熱。輻射熱は遠赤外線です。
太陽からの様々な熱線の中には、もちろん遠赤外線も含まれています。
簡単に言うとこの強烈な熱線が屋根の瓦や板金を熱し、それらは屋根に仕込まれた断熱材をも熱伝導で徐々に温めて、温められたそれらの素材が輻射熱を発して空気を温める、と言うのが夏場の住宅、建物内の頭の上の方で起きている現象なのです。
先日、暑さ対策の依頼を受けて訪問した某企業様の工場の天井部分をサーモメーター(業者さんのものですが高性能なものは100万以上します!!)でチェックしてみたら、9月10日の時点で天井付近は59度!!!!!
画像で見ると、屋根材はもちろん、その下の骨組みの鉄骨梁もしっかりと熱せられて黄色く表示されています。
これらが輻射熱を放出して、工場内の気温もグングン上昇してしまうわけです。
因みに大きな業務用エアコンが数台、設定温度20度でフル稼働しています。
それでスタッフの方がなんとか作業できる環境を維持しているわけです。
国連がSDGS(持続可能性を追求する社会のあり方)を提唱する世の中にあって、いかに環境負荷をかけない企業活動にするかは大切ですし、何より、かなりの電気代が生産業務に跳ね返ってしまいます。
日中にたっぷりと熱を蓄えてしまうコンクリート製の住宅は特にそうですが、一般住宅であれば生活コストが余計にかかり、可処分所得(自自由に使えるお金)を圧迫します。
様々な断熱材を見てきましたが、夏場の特に強烈な真上からの熱線をシャットアウトするためには、屋根に関しては、素材自体に熱を伝導してしまうため、断熱材では不十分である、と言うのが結論です。
因みに壁に関しては断熱でも良いとは思います。夏場は太陽の位置が最も高いためです。
屋根に必要なのは高品質な「遮熱」です。
熱を断ずるのではなく(材そのものが保熱してしまう)、熱を跳ね返す(材に熱が伝わらない)。
それによって、そもそも屋内の空気を熱さないように努める。結果的に光熱費も節約できます。なにより、もわっとする暑さから解放されるのは気分的にも良いことです。
フルハウスは幸せリゾート空間®︎プロデュースを標榜していますから。
というわけで、屋根には高品質で的確な遮熱を施すことが、これからの住環境、職場環境のスタンダードです。
それでは、訪問した工場での調査風景の画像をご覧ください。